お墓の歴史墓地の種類と特徴墓地選びのポイントお墓のしくみ墓石を選ぶポイント
埋葬の基礎知識改葬の基礎知識
 
 
 遺骨をお墓に埋葬する納骨は、忌明けの四十九日の法要の後が一般に多いようです。地域によっては葬儀終了後に納骨することもあります。お墓を新しく建てる場合は、建墓の後に埋葬します。建墓の途中でもカロート(納骨棺)が完成すれば仮埋葬することもできます。
 火葬されて骨つぼに納められた遺骨は、忌明けまで自宅に安置されます。一般に忌明けは四十九日(満中陰)ですが、故人が月の下旬に亡くなったときは、四十九日では三月にわたるので三十五日(中陰)に繰り上げることもあります。
 
 埋葬の手続きは、埋葬許可証を墓地の管理事務所に提出します。
 また、霊園などが発行する使用承諾書が必要になる場合もあります。納骨式は親族などが集まり、遺骨をカロートに納めて、花、線香、ローソクなどを供えて焼香します。その間、僧侶が同行する時はお経を唱えてもらいます。無事に納骨式を済ませ、簡単な会食の席を設けることもあります。
 
 新しくお墓を建てた場合は、お墓に仏の魂を入れる「開眼供養」を行います。故人が安らぎの場所を得ることから「魂入れ」「お性根入れ」とも呼ばれています。
 方法は納骨式と同様に、親族や親しい人が集まって、僧侶に読経してもらい、焼香して冥福を祈ります。開眼の法要後は、全員で会食の宴席を設けることが多いようです。僧侶にはお布施が必要です。
 
 お墓は建てただけで終わりではなく、お参りして供養することが大切です。命日や忌日、お盆、お彼岸などにはお墓参りをします。お墓参りには、線香、供花、ローソク、供え物、手桶、ひしゃく、掃除用具などを持参します。手桶やひしゃく、掃除用具などは墓地で用意されていることもあります。お墓を訪れたらお墓の周囲を掃き清め、たわしなどで墓石の汚れを落とし、新しい水を墓石にかけます。水鉢の水を新しくして持参した花や供え物を供え、束の線香やローソクに火をつけて合掌します。供え物は故人の好物や季節の果物、お菓子などを用意し、お参り後は持ち帰ります。線香やローソクの火の確認も忘れないようにしましょう。
 このようにお墓に水をかけたり、線香を供えるのは意味があります。水は清めるだけでなく、あの世で飢えの苦しみから救うために清浄な水をささげるというもの。また、線香は異臭を消して空気を清浄にすることに加えて、故人の食べ物となる大切なものです。(インドでは死後は香を食べると信じられていた。)
 
 
お墓は角柱塔型の3段墓が一般的ですが、地域によっては伝統的な形が受け継がれているお墓もあります。中部から近畿地方では竿石が丸型に、岡山県や香川県では破風屋根の位牌型、北陸地方では雲をのせた位牌型などです。特に代表的なのが沖縄地方。中国文化の影響を色濃く残す亀甲墓、王家の伝統を受け継ぐ破風型、箱の形で塔式墓なども見られるようです。
 
 
 
 
 
最愛の人を亡くした場合、故人を身近に感じたり、簡単にお墓参りができるように「自宅の庭にお墓を」と願うことがあります。しかし、『墓地、埋葬等に関する法律』によると「埋葬または焼骨の埋蔵墓地以外の区域に行ってはならない」と規定されています。墓地とは「墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可を受けた地域」。それゆえ、自宅の庭にお墓を建てることは法律で認められていません。どうしても、という場合には、遺骨を埋葬しないで故人を偲ぶ石碑や記念碑を建てるのは可能です。また、埋葬しない限りは自宅に遺骨を保管していても違法ではありません。最近では、分骨した遺骨を納めて、家の中で供養する陶磁器やセラミックなどの小さなお墓が登場しているようです。